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ネットに溢れる金融広告について考えてみた(1)

このブログはジャーナリストでもなんでもない私が考えたことを書き留めていくもので、別に受験についてのものではない。書き始めにたまたま娘の受験についていろいろ考えていたのでちょっと書いてみたという経緯である。
なので、今回趣向を変えて私のSNS(主にFacebook)でみかけた投資広告にツッコミを入れていきたいと思う。

第1回目は天下の三井物産が販売する「オルタナ」をとりあげる。なお、あくまでコタツ記事なので広告とその先のリンクくらいしかみておらず、「もっと掘ればちゃんと書いてあるだろ!」みたいなものもあると思うが、そもそも掘らないと出てこない時点で広告としてはダメだといってよいので、消費者としての強い気持ちで批判していきましょう。

【想定分配金年3.0%】


単純に利回りが低い・・・
J-REITの分配金利回りが4%前後なので、この商品を買う理由がない。まあそれは三井物産の人もわかっていると思われるので、ここから「いかにREITより優れているか」のアピールが始まる。

【値動きを気にする必要はない?】


値動きを気にする必要がないのではなく、リアルタイムの値動きがわからないというのが正しい。潜在的には当然値動きはあるし、償還の際の売却損益は当然リターンに関わってくるので気にすべきポイントである。本質的に値動きが重要であるにもかかわらず「気にする必要ない」といってしまうのはかなりミスリーディングな記載であると思う。

【不動産の現物価格は安定している?】


とてもミスリーディングな記載で、虚偽スレスレだと思う。知識のない人は「そうか、現物の方が安定してて安心だな!」と誤解してしまうのではないか。
もちろんそんなわけはなく、これはあくまでも「大量の現物不動産の価格の平均」であり、ガッツリ分散が効いているわけで、オルタナの扱っている商品のような単一の不動産への投資は分散が効いておらず極めてリスキーであることを隠そうとする意図が働いているといえるだろう。
三井物産の掲げる「お客さま本位の業務運営に関する基本方針」第4条にも違反しているのではないか?

第4条 重要な情報のわかりやすい提供
当社は、商品内容やリスク内容等の重要な事項について、お客さまに十分にご理解いただけるような説明を行うとともに、運用中ファンドについての定期的報告を含め分かりやすい形での情報提供に努めます。
https://corp.mitsui-x.com/assets/corporate/fiduciary.pdf

【投資対象の分散が効いていないことの正当化】


表の中で投資対象の分散が効いていないことを「投資対象のわかりやすさ」として○評価としている。Jリートは×だそうだ。
これを書いた人に少しでも良心があるのなら、当然分散が効いていないことのリスクの説明があるはずだ。この物件の真下で直下型地震が起きたり、手抜き工事が発覚したりしたら一撃でお陀仏である。分散が効いていないということはそういうことだ。


さすがに後ろめたいのか、言い訳は書いてあるが、個人で分散ポートフォリオを構築しろとむちゃくちゃをいっている。それができるなら小口投資なんてやらんだろう。

流動性が○?】


年2回売却申込ができるから流動性は○だそうだ。しかし、売り先とのマッチングが成立した場合に限るとのことだ。売り先とはどこなんだろう?マッチングの実績はあるんだろうか?
こんな不安な状態なのに、現物不動産の流動性はなんと×だ。いつでも不動産屋に話を持ち込めて、値付け次第ではすぐに売却先が決まる現物不動産の流動性の方がまだマシに思えるがどうだろう?少なくとも、現物不動産よりはるかに流動性が高いと認識させるようなのはよくないだろう。

 

【結論】
個人的にはこれがREITに勝ってるところがなんもないと思うので絶対買わない。せめてREITより利回り高く設定しなきゃ勝負にもなってない。分散は素人がプロに勝つための最強の手段という認識が必要。